2014年4月11日金曜日


改正消費税法により、消費税率が平成26年4月1日を施行日として5%から8%へ改正されました。
さらに平成27年10月1日を施行日として8%から10%へと引き上げられます。
今回は、私自身が経理処理を行う上で、疑問に感じたケースの処理方法についてご紹介させて頂きます。


1.返品等があった場合の処理

施行日より前に販売した商品が、施行日以後に返品されたり、値引き、割戻しされたりした場合は、消費税の納税額計算は旧税率を基礎として計算することになります。
例えば、平成27年3月期の決算において、売上が10,800(税込 新税率)で、平成26年3月期に販売した商品の返品が3,150(税込 旧税率)あった場合、当期の消費税の納税額は、
10,800 × 8/100 - 3,150 × 5/105 = 650
になります。これは仕入の返品等があった場合も同様です。
なお、施行日前後の返品等について、たとえば、当月の返品等は前月の販売に対するものとして継続的に処理している場合、平成26年4月中の返品については平成26年3月中の販売に対応するものとして、旧税率によって売上げに係る対価の返還等の計算を行っても構いません。但し、このように取り扱う場合には、取引当事者間において取り交わす請求書等に適用税率を明記し、取引の相手方は当該請求書等に記載された税率により仕入れに係る返品等に係る消費税額を計算することとなります。
(参考)
消費税法附則第9条、第11条
平成 26 年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱い Q&A 問5



2. 貸倒れがあった場合の処理

上記1の返品等の場合と同様に、旧税率が適用された課税売上に係る売上債権について、新法施行日以後に貸倒れがあった場合は、旧税率を基礎として消費税の納付税額を計算することになります。
(参考)
消費税法附則第12条



3. 工事進行基準についての処理

請負の経過措置の要件を満たすためには、指定日(平成25年10月1日)の前日までに契約が締結されている必要がありますが、消費税法上の処理として、工事進行基準が選択された工事の場合は、施行日の前日である平成26年3月31日までに契約すれば、請負の経過措置は適用できないものの、別途経過措置の対象となり、平成26年3月31日までに計上した工事収益については、旧税率の5%を適用することができます。
この工事進行基準の経過措置の適用を受けた場合には、受注者は発注者に対し、経過措置の適用を受ける旨及び適用を受けた部分に係る対価の額を書面により通知する必要があります。これは、受注者側で旧税率により売上計上した部分は、発注者側でも旧税率により仕入税額控除をすることとされているためです。また、工事進行基準の経過措置に関しては、通知がないと、経過措置の適用の有無や、適用を受けた金額が、発注者側で判断できないため、請負の経過措置と比較して、通知の重要性は高いと考えられます。
(参考)
消費税法附則第7条
消費税法施行令附則第9条
平成 26 年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱い Q&A 問54